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2010年12月22日
第20回日本産業衛生学会 
産業医・産業看護全国協議会の産業歯科保健フォーラムの報告


2010年10月13日(水)〜16日(土)に、かでる2・7 道民活動センタービルで開催された第20回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会(メインテーマ『働きがいのある職場環境と産業保健の役割』)において、10月16日(土)に「産業歯科保健活動の有益性とその共有化を目指して」をテーマに産業歯科保健フォーラムを開催した。参加者は21名であった。

現在の社会情勢の中、職域で歯科保健活動が積極的に行われているとは言いがたい状況が続いている。しかし全身の健康との関連が徐々に明らかとなってきている今、職域で口腔保健を展開させる意義は大きいと考える。そこで、実際に今まで産業歯科保健のプログラムを実施してきた実績からどのように企業にとってメリットがあるか、多くの職域のデータからの分析結果を研究機関の市橋先生から、また産業保健スタッフの一員として全身の健康作りの一環として積極的に取り組んでいる企業内の歯科衛生士の三橋先生から、それぞれ発表いただき、それをうけて、今後どのようなストラテジーをもって産業歯科保健を展開させていくか北海道の木下先生の提案をもとに、今後の産業歯科保健の有益性を論じた。

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「産業歯科保健活動の経済的評価の試み」
公益財団法人ライオン歯科衛生研究所、獨協医科大学 公衆衛生学講座 市橋 透

産業歯科保健活動は、就業者の歯科に関する健康意識の向上や歯みがき習慣、受療行動などの行動変容に結び付け、未処置歯の減少や歯周病の改善に影響を及ぼしていることは多くの報告で示されている。演者らの研究によると、産業歯科保健活動の実施は予定外休暇(突然の休暇)の発生の抑制に寄与していることや、活動に多く参加している者では少ない者に比べ、歯科医療費が少ない傾向にあることが分かってきた。このように産業歯科保健活動は、就業者だけでなく事業主、健康保険組合にとっても有益な活動であることが明らかになってきている。今後も産業歯科保健活動の有益性に関するエビデンスを蓄積し、情報を発信・共有化していくことが求められる。

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「産業保健スタッフの一員としての歯科衛生士活動」
トヨタ自動車株式会社東京総務部人事室健康・安全グループ 三橋 千代子

1982年にトヨタ自動車株式会社東京本社に歯科が設置された。初めは診療中心であったが、ある特定の人が利用する歯科で良いのかと疑問に感じ、まず2003年9月から定期健康診断に歯科健診を(健康づくりの一環)導入できるように各所調整し実現した。社員の健康サポートは歯科を通じ、健康スタッフが一丸となってフィジカル・メンタルとトータル的に取り組むようになった。同じ問題意識・課題認識を持ち、誰の為の仕事をしているかをいつも考え、コミュニケーションの取れた職場つくりを目指している。さらに我々は社員のために、たくさんの施策を用意し、一層身近に感じる存在になれることを目指し、待つのではなく診療所から飛び出ていかなければないと感じている。

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「北海道の産業歯科保健“これからの戦略”〜歯科保健推進条例をどう生かすか〜」
木下歯科医院 木下隆二

どの世代をみても全国平均を下回る道民のお口の健康状態。平成21年6月に制定された「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」がこの状態を打破できるのか?条例の各項目をより具体化し、年度ごとの検証も義務付けている。この条例を「絵に描いた餅」で終わらせないためには、これまで道歯会が行ってき労働者への口腔保健向上に向けた活動を粘り強く継続する事と北海道(行政)の職域への歯科保健対策推進が必須である。

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口腔の健康が医療費のどの部分に影響を与えているのか、さらなる分析が必要であるとの討論を行った、産業における歯科保健の有用性を明文化したデータをストックして共用できる環境を作り、それらを活用しながら活動を展開させていく必要性が強く認識されたフォーラムであった。

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文責:加藤 元

 

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